オランダで洋上風力発電所が完成

めでたいな。

世界最大級600MWの洋上風力発電、オランダで150万人分の電力を供給

2017年05月16日 07時00分 更新
オランダ北沿岸部の沖合で約2年かけて建設が進められていた洋上風力発電所が完成し、2017年5月7日から操業を開始した。世界でも最大クラスとなる大型の洋上風力発電所で、再生可能エネルギーの供給比率を2020年までに14%に高めるというオランダ政府の目標を大きく後押しする発電所だ。
原発反対派がこぞって絶賛しそうな話だ。



もちろん、僕も風力発電の是非についてとやかくいうつもりはない。オランダでこの計画が推進されていることは素晴らしいことだと思うぜ。使える技術は多い方が良いから。
ただまあ、どういった規模なのか?日本で実現可能なのか?と言ったことに関しては、しっかり考える必要はあるだろう。
 プロジェクトおよび発電所の名称は「Gemini」。約28億ユーロを投じる大規模なプロジェクトで、カナダの再生可能エネルギー事業会社であるNorthland Powerが60%、Siemens Wind Powerが20%、オランダの海洋土木事業者であるVan Oordと再生可能エネルギーおよび産業廃棄物処理事業者のHVCがそれぞれ10%の割合で出資している。
このプロジェクトはオランダの国家威信をかけたプロジェクトらしく、600MWもの電力を生み出すことができるらしい。
イギリス沿岸にある世界最大の風力発電所「London Array」に次ぐ、世界最大規模の洋上風力発電所である。
そして世界で2番めの規模の洋上風力発電所であるとのこと。
Gemini
こんな風車が洋上に150基か。送還だな。

さて、それで600MWという発電規模なのだが、どのくらいのレベルなのだろうか?
日本ではこのような、反原発派が発狂しそうなニュースがあったばかりだが、この高浜4号機の発電能力は、出力が87万kwということだ。高浜3号機と同型の4号機は加圧水型軽水炉(PWR)と呼ばれる方式で、運転開始は1985年と比較的古い原子炉となる。
で、出力87万kWというう数字は、MW表記にするとどうなるかというと、870MWとなる。風力発電の風車150基が発電する電力と高浜4号機1基の発電量は大差ないというわけだ。最新の原発は1000MWを超えるものが主流となってきている。

……えっと、次に建設費だが、オランダのGeminiは28億ユーロかかったのだというから、ざっと3500億円程度使ったと言う事になる。
高浜4号機の建設費は2100億円程度。日本で最新の上関原子力発電所では1号機2号機を同時に建設して9000億円を投じる計画になっていて、現在建設再開されたと報じられている。単純に割ると1基あたり4500億円で、その出力は137.3万kWの予定である。

上関原発工事、免許を延長 山口県 再開、工程明示が条件

2016/8/4 6:10
山口県は3日、中国電力が同県上関町に計画している上関原子力発電所(1・2号機)の海面埋め立て工事の免許延長を認めた。県と中国電は免許を巡って4年近く綱引きを続けてきたが、ひとまずピリオドが打たれた格好だ。
なお、予算については日本での原発を取り巻く環境が変わってしまったので、建設費は更に高くなる可能性がある事はここに書き添えておく。
が、現状の費用と比較すればGemini建設費と発電量あたりの価格はそれほど変わらない事がわかるだろう。

え?同じ費用で出来上がるなら、原子力発電所より洋上風力発電所の方が良い?海の上のスペースは余っている?
まあ、そういう考え方はあるね。
 
ちなみに、風力発電に用いる風車の寿命は20年程度とされており、一般的な原子炉の寿命の半分だ。半年に一度は定期点検が必要だが、原発も年に1度は定期点検で止めている。ただし、原発は停止させると再稼働までにまた半年近く時間を要することを考えれば、洋上風力発電所の方がこの点については有利なのかも知れない。
 
あとは発電効率だが、600MWの発電規模であっても、年間発電量は2600GWh程度と見込まれているらしい。2,600,000MWh/24h/365=296.8MWか。発電効率は5割程度あるという計算になるな。
洋上風力発電の場合は安定的に風を捕まえられるというメリットはあるようで。地上では3割程度の発電効率であれば良い方であるとされるので、かなり高効率だな。
 
日本の場合はどうかという話を紹介しておこう。
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これはNEDOの資料で、最新は2015年。設置基数は2102基で、設備容量は311万kWである。全国にある風力発電所全て合わせて3,110MWで概ね原発2基~3基分だ。ただ、導入数は徐々に減りつつある。
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日本の場合は、こんな感じで山間地に配置するケースが多く、それは風況、つまり発電効率の良い場所の確保が難しいという事情があるからだ。無論、これは洋上風力発電が可能となれば、ある程度解消可能な話ではあるが。
 

そして、日本の場合はもう一つ厄介な問題があるのだが、折角なのでデンマークの事例も紹介しておこう。風力発電に関しては、オランダだけで無くデンマークも力を注いでいる。

神話を破壊、111%の電力生むデンマークの風力

2016年12月19日 13時00分 更新
 デンマークが発電の記録を打ち立てた。2016年12月1日、国内の全消費電力を超える電力を風力発電から得た。
 現地時間2時30分から18時30分までの発電比率の推移を図1に示す。風力発電が消費電力に占める割合を縦軸にパーセント表示したもの。2時30分ごろから5時50分ごろまで100%を超えている。最大値は111%だ。

なかなか魅力的な記録だな。100%を風力に頼って発電できていると言う事は、火力発電も原子力発電も必要無いという話になる。デンマークで必要な電力は4000MW~4500MW程度だと言われているので、原発に換算して4~5基分の電力だ。

ただ、このデンマークの例はあまり日本に当てはまらない話。
何故ならば、デンマークを始めとしたEU諸国では国家間で電力を融通しているため、100%を超えた発電を許容できるが、日本はそうでは無いのだ。
 さきほどデンマークを電力の貿易港に例えた。これは図6の状況の比喩だ。おおまかな流れはドイツで余った電力はデンマークを経由してノルウェーに送っている。これはノルウェーが保有する巨大な揚水発電所の蓄電能力を生かした運用だ。
紹介した記事では巧妙に問題点をずらしているが、以下の問題点は「神話」でも何でも無いのだ。
  1. 風力発電の比率が高まると、系統が不安定になり制御できなくなる
  2. 変動する風力発電は、主要な電力源として役に立たない
  3. 風力発電を増強すると、それに合わせて火力発電も増やさなければならない
  4. 風力発電の大量導入には蓄電池などのバックアップ電源が必要不可欠
  5. 連系線は系統間の大規模な電力のやりとりには向かない
  6. 国をまたがる連系・送電は陸続きでないと困難だ
  7. 連系線は短時間の変動を吸収できない
残念ながら日本とデンマークとでは前提が異なる。平地が多く、偏西風による恩恵を受けやすいデンマークに比べて、日本は山間地が多く風向きは変動しやすい。記事では日本国内における大規模な風力発電施設の設置と電力ネットワーク化で問題解決するような印象操作をしているが、台風などの風力発電に向かない天候の影響を受けやすい日本にとっては、風力発電の恩恵はなかなか受け難い。また、西日本と東日本で電源周波数が異なる点も大規模な連系・送電の妨げとなる。落雷の影響が強いというのも日本の問題と言える。
よって、7番目以外は日本にとって「神話」のままなのである。



次に、スウェーデンでの関連ニュースを紹介。

洋上風力の「最安値」、再生エネ100%を支える

2016年11月14日 13時00分 更新
洋上風力発電のコストが火力発電を下回った。それも大幅に。
 スウェーデンの電力事業者であるバッテンフォール(Vattenfall)は、2016年11月9日、バルト海上に建設を予定するKriegers Flak洋上風力発電所(出力600メガワット、MW)を落札したと発表した(図1)。
 落札価格はメガワット時当たり49.9ユーロ(1キロワット時当たり約5.7円、1ユーロ115円換算)と安価だ。Vattenfall Windの社長であるGunnar Groebler氏によれば、公募時の上限価格を58%下回る金額だという。

魅力的な話で、キロワットあたりの単価が5.7円であれば、日本国内でも最安値に近い数字である。これも洋上風力発電による数字で、参考になる話ではあるのだが幾つか注意すべき点はある。
バッテンフォールは事業買収などによって急速にその規模を拡大している事もあり、赤字はその影響である可能性は高い。もちろん、大型の設備投資による影響もあるだろう。が、適切な価格が設定された結果の落札であるかどうかは要注意だろう。上限価格は伊達に設定されているわけでは無いので、それより6割も下回るというのは尋常な話では無い。
この話は、あくまで「風力発電も安く出来る可能性がある」程度の話に留めておくべきだろう。

日本での洋上風力発電のコストは1kWあたり36円である。これはFETによる価格設定なので、今後下がっていくと思われる数字だが(陸上の風力発電は22円程度)、それにしたって高い。火力発電の3倍以上のコストがかかっている。コストを下げる余地はあるのだろうが、バッテンフォールが付けた値段、5.7円というのが如何に現実離れした数字かが分かるだろう。



電力発電事情は国によって様々なファクターが絡んでくるので、他国の結果を見て直ぐに飛びつくというのはバカのやる話。

もちろん、洋上風力発電の未来の1つだという見方は出来ると思うが、日本国内ではまだまだ解決すべき課題も多いと言う事を忘れてはならない。
一方、洋上風力発電は陸上風力発電と比較し以下のようなコストが増加します。
  • 洋上風車の基礎
  • 洋上風車の建設費及び維持管理費
  • 洋上変電設備及び海底ケーブル
我が国の場合、欧州とは気象・海象条件が異なっていることなどから、洋上風力発電で先行している欧州の事例を そのまま適用することはできません。また、日本海側と太平洋側で自然条件が異なることや、その洋上風特性が明らかにされていないこと、 また、沖合での洋上風車の低コストな建設工法など、洋上風力発電の実用化に際しての課題は少なくありません。
そのため、NEDOでは洋上風況観測タワーと洋上風車を実際に千葉県銚子沖及び福岡県北九州市沖に設置し、 我が国に適した洋上風力発電に係る技術を確立します。
http://www.nedo.go.jp/fuusha/haikei.html


実際にNEDOはこの様な見解を示している。

まあ、研究は進められているので、今後に期待だな。



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コメント

  1. 風力発電と言うとどうしても、早稲田の「回らない風車事件」を思い出してしまう。
    「捏造の早稲田」の伝統は、小保方さんから始まったわけじゃないんだったと改めて思い出した。

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    1. 回らない風車、ですか。
      お粗末な話ですよね、あれも。

      何が原因だったのやら。

      削除
  2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年5月18日 17:43

    >高浜4号機の建設費は2100億円程度

    ただ、この金額は「バブル」の前ですからね...今の価値だと...

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    1. 記事内で最新の原発の話に言及していますが、1基4500億円程度というところから、多分更に上がっていることでしょう。相当、ハードルが上がっていますからね。

      6000億円くらいはかかるのでは?

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